リゾートバイト体験記4日目
楽して稼げる!…けど、いいのか!?
4日目。6時半起床。早起きが三日坊主にならなくてすこし達成感を覚える。朝食を食べ出勤するまでの動作も慣れてきた。足取りが軽くて仕方ない。
前日まではどちらかといえば、仕事を任されないことに悔しさとか、焦りだとか。そういった意識の高さからくる窮屈さを感じていた。この日の午前業務、なんと紙を切っていただけだ。チケットかなんかだろう。バイトの仕事ですらない。中学の職業体験の空気を思い出した。こんな作業でも時給は発生するわけだし、研修扱いとはいえ給与は変わらない。楽に稼げているこの現実に甘えたくなる。
とはいえ、相変わらず居心地は悪い。自分が椅子に座ってハサミを得物にしている間、同僚たちはフロントでお客様の対応をしている。立ちっぱなしだし、朝のピークってだいたい忙しい。何が忙しいって前日の午後に宿泊したお客様が出ていく時間はほとんど同じ時間だからフロントの混雑は半端じゃない。8時30分から10時までのピークを終えた頃、やっと静かになるフロント。裏で作業している自分が罪悪感やら、情けなさやらを感じたのは想像に難くないだろう。
結局自分は仕事を頑張りたい!というより、他人と同じ水準で扱ってほしいだけなのかもしれない。いやしれないんじゃなくてそうだ。こんなところでも自分のみみっちさを感じてしまうのであった。
午後は悲願の実践!
なんて感傷なのか反省なのかよくわからない気持ちに包まれながら、午後の勤務時間を迎える。出勤して課長から「そろそろ実践するか」と待ちに待った言葉をいただく。あからさまにトーンの高い返事をし、この居心地の悪さからもおさらば!だなんて調子のいいことを考えていた。根本的に私はアホである。
実際、やってみると練習や見てるときとはまるで違う。月並みな話だがほんとにそうなのだ。施設の概要はおさえてあるし、なんなら自分のインプットだってある。だいたいの話に対応できる自信があったし、その自信からまごつくこともないと思っていた。だが実際に一人で重い荷物を持ち、部屋番を把握し、案内ルートを決める。道中に話すことはテンプレート通りだとつまらないから柔軟に言葉を変えるが、その変更で重要な情報を落としてしまってはいけない。いざやってみると頭に浮かぶ思考に押しつぶされ、スムーズにできない。慣れればできるだろう。そう自分をなだめてみても、今までの調子のよさに恥ずかしくなる。
この日、私は必死になって案内をしていた。思えば勤務して初めて時間を忘れた働きだったように感じる。終えた頃、一日の働きにミスがなかったことに感謝していた。