飛び込め!リゾートバイト!

リゾートバイト。それは誰もが憧れ、でもどこか踏み出せない知る人ぞ知るバイト。そんなリゾートバイトにスキル無し!コミュ力普通!意欲MAX!で飛び込んだ平凡フリーターの体験記。

リゾートバイト体験記3日目

 

4月の終わり

 ここにきて初めて明かすが、この3日目で4月の終わり。つまり30日だ。世はちょうどGWに浮かれるころで、もちろん観光を売りにする我々に全く影響がないわけがなかった。GWに合わせての派遣だったのだ。少しでも人手が欲しかったのだろうか。いまだに新人をGWに間に合わせるような派遣の仕方への疑問は解消できていない。大して気に留めてもいなかったが。新緑を臨むこの日も、起床は6時。まだ朝は心地よい肌寒さだ。

 

 

 

大きな変化のない業務

 相変わらず研修扱いの私。当然といえば当然なのだが、少し居心地の悪さに焦りも出てきた。早々に仕事を覚え、役に立ちたい。そうは思っても、課長は止める。課長の言は単純だ。仕事は覚えてもらいたい、だが急いてお客様に迷惑をかけるのは違う。その通りだ。その通りだからこそ、私はもどかしく、やはり焦った。ここはぐっと一つこらえて、ほとんど覚えてやりがいのなくなってきた仕事に徹する。新しく学ぶことは大変で、時に苦痛を伴う。だが、学び、知ることがいかに貴重な体験で、人に生きがいをもたらすのかを感じさせる時期だった。一つ、また一つと確認するように作業を終えた頃には中休みの時間になっていた。

 

 

 

展望からの景色

 少しずつ私の心には驕りが出てきていた。ここまで仕事は順調で、手応えも感じている。なぜもっと任せてくれないのか。焦れば焦るほど仕事のミスが増えるというのは確たる根拠があって言うのではない。だが私は経験でそれを知っていた。こういうときは気分を転換すべきだ…施設案内の時に島内遊歩道について聞いたことを思い出し、長い中休みをつかって探索してみることにした。

 

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(*島内遊歩道の先、展望台での景色)

 

 果たして私の試みは成功した。自然に囲まれ、景色を楽しむことで心に余裕ができていた。仕事のことも、この先の休みの予定を思えばなんとも思わなくなっていた。素晴らしい自然に囲まれた環境というのは、それだけで価値あることだと思う。遊歩道は片道30分ほどの短い距離。だが、小さな山を登るような感覚に近く、慣れない私は酷く疲労することになる。

 

 心地よい疲労感と情けなさを感じながら、在任中のトレーニングを自らに課した。

 

 

 

午後、業務を終えて。

 そういえば今日、新しくフロントに男性が派遣されてきた。同じアプリリゾートからで、名前をP君というらしい。新天地で浮かれていたとはいえ、少し心細いのもあった。どうやら赴任間もない彼も同じだったようで、勤務を終えた後にだいぶ話が弾んだ。ホテル業は過去に経験したことがあるようで、髪の毛はばっちり7:3で固めるような真面目な人。初対面の印象はそんなものだったが、話してみると意外に気さく。これからの生活に楽しみが増えた。